「買い物の袋、受け取れないくらいだったかな? あと50cmの所で止まってた」



「お、お話は、普通に出来てますよね?」




 自分では自覚できていないけれど

 いつも通り話せていると思いたい。



 本当は少しだけ

 緊張してしまっている、けれど……。




「うん、怪我してるから普通っぽくは見えないけど、会話は出来てるよな?」




 悠人先輩のやさしい笑顔に

 ホッとして、アタシは息を付いた。



 よかった。




「はい」




「そっか……、じゃあ明日はリハビリ兼ねて、ショッピング モールでも行ってみようか?」



「……はい」




 昼間だし、1人で大丈夫だよね?




「オレも行って、由似ちゃんが色々平気か見てみるから……」




 えっ?




「……可児先輩、お仕事はいいンですか?」




 アタシはともかく

 先輩が、1週間以上も

 出張に行かないなんて……。



 いくら二課でも、ないよね?




「あれ? 言わなかったっけ? 前野主任にお願いして、オレも由似ちゃんの復帰までは、内勤業務と仕掛けだけにしてるんだよ」



「……」




 にこにこと、意味ありそうに笑う

 可児先輩が、ちょっと怖くて

 それ以上聞くのを諦めた。