「……」




 夜中に、何度も襲ってくる

 あの日のフラッシュバックが

 原因で眠れなくて……。



 先輩には申し訳ないけれど

 夜中、一緒にいてもらっていた。
 


 もちろん、これは

 可児先輩の提案なのだけれど



 最初、ここに泊まると言われた時は

 どうしようかと

 途方に暮れてしまった。



 アタシの状況的に

 それどころではなく

 本気で1人では眠れなかったので

 助かっている。




「……」




 襲われた後の

 精神的なケアまで考えてくれるなんて

 正直、先輩の凄さを思い知られた。



 ウトウトと、眠気に支配されつつ

 アタシは、先輩のパジャマを

 ギュッとつかんで……




「……可児先輩、ありが、とぅ、……ござぃま、す…――」




 背中に回った先輩の腕が

 少しだけ

 力がこもったのを感じて



 アタシは、眠りに落ちていった。