恋する24時 2


 ガシッと、左の肩を掴まれて



 えっ!?



 もの凄い力で後ろに引っ張られた。



 バランスを崩しそうになって

 持っていたスーツケースのおかげで

 なんとか倒れずにすんだ。



 けど……



 すぐ近くに

 白いフードを被った男が

 嬉しそうに口だけで笑っていた。




「……」




 ム、ムリ……。



 急いで

 アタシとそのパーカーの男の間に

 スーツケースを置いて間を作る。



 いざとなったら

 スーツケース捨ててでも

 走って逃げなければ……。




「……ねぇ、どっちにする?」



「何が?」



「……死ぬ前と、死んでから? どっちがイイ?」




 何を言っているのかわからないのに

『死ぬ』と言うワードだけは

 確定事項みたいに、この男は言う。



 
「……っ」




 体中から、危険信号みたいに

 痛みに近い強い鼓動が脈打っていた。