恋する24時 2


 すぐ近くで足音がする。



 速足で歩いてるのに

 全然広がってくれなくて

 距離が縮まるばかり……。



 怖い、コワい

 助けて……!!







「お姉ぇさん、……一緒に遊ばない?」



「っ!?」




 ビクッ、として振り返ると

 もう直ぐ一メートルの所まで来ていて



 うっすら笑っていた口の端が

 更にニヤリと上に上がった。



 イヤな予感が

 全く外れてくれない凶悪な笑顔に

 背筋が震える。




「い、急いでるので、……他を、当たってください」




 のどカラカラな声で

 何とか言って

 アタシは、小走りでスーツケースを引いて

 その場を離れる。




「……」




 ヤバい、……ヤバい奴だ!



 間違ったら

 殺されちゃいそうな

 イッっちゃってる空気を持っていた。




「……まってよぉ? 今日おれ、機嫌がイイから選ばせてあげるよ?」



「間に、合ってます」




 小走りで逃げているはずなのに

 声が全然近くにいる。




「待って、ってばぁ!!」