恋する24時 2


 心臓の音が、やけに自分の耳に響く。



 もう、怖くて振り返れない。




『頑張って、……いよいよヤバくなったら大声出して助けを求めるんだよ?』



「はい……」




 大声、なんて出てくれるのか

 わからないけれど。



 まずは逃げ切らなければ……。




『取り合えず、通話は繋げておいて、しゃべらなくてもいいから……』



「はい、わかりました」




 アタシは、落とさないように

 ジャケットのポケットに

 スマホを通話のまま入れた。



 そして後ろの

 気配に、意識を集中して歩いた。




 心臓がバクバク言ってる。



 スーツケースを持つ手も震えていた。




 怖い

 コワイ……



 すぐ後ろで

 ザリッ、と砂利を踏んだような

 音がやけに耳に響いて……



 !?



 強ばるカラダを

 何とかして歩みを進める。



 可児先輩でも、警察の人でも

 誰か……、早く来て!