大きな海老くんが急に屈むから

 目の前に彼の顔が来て



 えっ?



 ち、近いよ顔がっ……!




「……もちろん、ありますよ?」



「へぇ、……意外です」




 人との距離感が、近い子なのかな?




「今日は報告書提出して終わりだから帰っちゃっていいよ、明日は可児先輩と山角さん入れて4人ですり合わせしよう」




 アタシは、気付かれないように

 一歩下がって

 先輩っぽい笑顔を向けて言った。




「はい、2日間ありがとうございました!」




 と爽やかに破顔一笑する。



 マジで体育会系な

 先輩を立ててくれる本当にいい子だな。




「うん、お疲れ様、また明日お願いします」



「へへ……、玉井さんって、2人だともっと無言でとっつきにくいかと思っていたんですが、大人の女の人らしいって言うか、たくさん気を使ってくれて嬉しかったです、お疲れ様です」




 去り際に、ニコッと笑った海老くんが

 少し照れた赤い顔でこう言って

 去っていった。