「ありがとう、でも大丈夫なの?」



「このデーター探すのに、後1時間はかけても平気なんで」




 そう言って、伊織さんを見て

 ニッと、笑うと



 伊織さんは

 困ったように笑って吹き出した。




「大胆にサボりながら、あたしの手伝いじゃあ、前野さんも叱れないね」



「いいんですよ、前野さんは甘々なんで」




 今日は可児先輩もいないし

 ここにチェックは入らないだろう。




「 前にリストアップしていた昔の企画、使う事になったンすか?」




 アタシが渡した紙類を

 伊織さんが確認して仕分けている。




「そう、単体じゃなくて今の企画と取り混ぜて使ってみようって、久我とあたしの入る大きめ催事で試すコトになったの」




 伊織さんと久我さんは一課だけど

 鈴木主任とは別に動く

 新しい企画を試したり

 検証した物をデーター化して



 大型催事に生かしたり

 企画部にレスポンスしたり

 他の課にやり方を教えている。