「……」
何とも言えない表情で
彼は、ストンと椅子に落ちるように座り
残りのハンバーグを頬張り始める。
「ゆっくり食べてくださいね、加藤さんは、時間があるんですから」
「……そう言う訳にはいきません、もう遅いので送ります」
へ?
「だ、大丈夫ですよ?」
このくらいの時間は
会社で慣れっこだし。
それに、食べさせたい家族が
そろそろ帰って来る
時間ではないでしょうか?
サッと、洗った食器を拭いて棚に戻して
わたしは、自分の鞄を肩にかける。
「じゃあ、わたしは帰りますね、加藤さんはゆっくり食べていてください」
そのまま、わたしは玄関に向かう。
「待ってください、送ります!」
あわてて追いかけてきた加藤部長が
わたしの肩に手を置いて言う。
急に触れられたことに
身体がビクッと、反応してしまう。


