恋する24時 2


「……」




 何とも言えない表情で

 彼は、ストンと椅子に落ちるように座り

 残りのハンバーグを頬張り始める。




「ゆっくり食べてくださいね、加藤さんは、時間があるんですから」



「……そう言う訳にはいきません、もう遅いので送ります」




 へ?




「だ、大丈夫ですよ?」




 このくらいの時間は

 会社で慣れっこだし。



 それに、食べさせたい家族が

 そろそろ帰って来る

 時間ではないでしょうか?



 サッと、洗った食器を拭いて棚に戻して

 わたしは、自分の鞄を肩にかける。




「じゃあ、わたしは帰りますね、加藤さんはゆっくり食べていてください」




 そのまま、わたしは玄関に向かう。




「待ってください、送ります!」




 あわてて追いかけてきた加藤部長が

 わたしの肩に手を置いて言う。



 急に触れられたことに

 身体がビクッと、反応してしまう。