恋する24時 2


 流されないように、強く言わないと。



「ごめんなさい、加藤さん、シチューは他の方にお願いしてください」



 きちんと、目を見て言えた。




「……そう、ですよね? こう何度もじゃ、ご迷惑ですよね」



「……」




 シュンとする加藤部長に

 多少の罪悪感を覚えつつ沈黙を貫く。



 ワイングラスを持つ手を握っていた

 彼の手の力が緩んだので

 そっと、ワインを飲むふりをして

 彼の手から逃れる。



 もう、ごはんも食べたし

 かたずけて家に帰ろう。




「加藤さん、今日はご馳走様でした、ハンバーグ美味しく出来てよかったですね」



 そう言って、わたしは

 自分の食べた食器をシンクに運ぶ。




「あっ、大丈夫ですよ? 俺がやりますから!」




 あわてて立ち上がる彼に

 わたしは、さっきのお返しとばかりに




「かたずけが終わるまでが、料理ですよ?」




 と笑って言った。