恋する24時 2


 もう、何を食べているかも

 わからなくなって

 ワインでなんとか、お腹に流し込む。




「……月森さん、お願いがあるんですが」



「はい?」



「今度は、シチューを作ってみたいのですが、また教えてもらえませんか?」



「えっ……」




 意外な申し出に、わたしは

 思わず固まってしまった。



 これっきりだと思っていたから

 困ったな、次は全く考えていなかった。



 出来れば、断りたい

 こんな一軒家に住む家族がいる人との

 次の約束より

 きちんと未来のある恋に

 限られた時間を使いたいから。



 でも、なんと言って断ろう……。




「……すみません、わたし」
「月森さん! 俺、どおしてもシチューが食べたいんです」




 へ?


 ワイングラスを持つ手ごと

 つかまれて、真っ直ぐに言う

 加藤部長の迫力に、つい引いてしまった。



 やだ、また押されてる?