「先輩ヒドイです、そもそも何でこんなこと……」
今まで言った『好き』が
まるで自分に返って来るように
アタシの頭をどんどん埋めつくしていく。
鼓動はうるさいし
顔は熱いし、クラクラしてきた。
「……だから、絶対にフラれないように、好きになってもらいたくて、いっぱい考えたヤツ」
「……」
絶対必勝恋愛ゲーム、だっけ?
「全くモテたことのない、アタシに何でここまでするんですか?」
「由似ちゃんが気付いてないだけで、ちゃんと見てる男はいたよ? 言わないけど」
先輩は、不機嫌な顔で横を向いて
一口スープを飲んだ。
こんな先輩を見るのは珍しい。
「……オレって、こんなじゃない? オンオフが激しいとか、人格とか日によって違うとか、話が飛び飛びとか、仕事だとマシだけど、プライベートは思ってたのと違うって、よく言われちゃって……」
確かに、仕事モードのみの
カッコイイ先輩を好きになってしまったら
ゆるゆるで残念な先輩や
天才モードで話さなくなる彼を見て
困惑するだろうな……。


