「可児先輩、聞いてもいいですか?」
「ん~?」
もぐもぐと、オードブルを噛んだまま
先輩は、首を傾けて先を即した。
「あの、先輩がやっていたアルバイトのヤツって、……何か意味があったのかな? って……」
ムグッと、口を押えて
先輩はあわてて水のグラスを口にした。
「……大丈夫ですか?」
慣れないお店で
マナーも何もあったものではない。
アタシは、あわててナプキンを
先輩に差し出した。
「ん、……ありがと、……どうしたの? 急に」
「いや、何となく、……先輩が意味もなく、あぁいう事はしないのかな? と思い直して……」
「……もう、必要ないから気にしないでいいよ?」
必要ない?
何処か不穏な言葉の響きに
アタシは、眉をひそめた。
「……先輩? それってアタシに関係することですよね? 気になって眠れなかったら困るんですが?」


