オードブルに口をつけないで
先輩は、不安そうな顔で
アタシを覗き込む。
ちゃんと、安心させると言う約束を
守ってくれたんだ。
「……はい、スゴい話でしたけど、安心は出来ましたよ?」
1つだけ、気になっているけれど
聞いていいのか悩む……。
「……由似ちゃん? 何か、気にしてるでしょ?」
うっ、可児先輩には
すぐにバレてしまうのはナンで?
「今の内に言って? 由似ちゃんすぐ我慢してパンクしそうだから……」
先輩が、エスパー過ぎる……。
「……あのぅ、今さら何ですけど、……可児先輩は、アタシの事、……ちゃんと好きですか?」
提案もKISSもされたけど、言われてない
フラッシュバック対策で
アタシの『好き』が
ただの代償だったら悲しい。
アタシの言葉に
先輩がポカンと一瞬停止して
あり得ないほど大きな声で笑い出した。
うえぇぇっ!?
「せ、先輩、声のトーン落としてください、……ここお高いレストランですよ?」


