「とりあえず、俺は行くからな、こんな所で3人分も払ったら嫁に怒られちまう!」
「ランチコースでソレ? 大変ダネ~、ローン組むと……」
ひらひらと、先輩が手を振って
『今日はありがとう先輩』と笑う。
「……オーバーしたら払っとけよ?」
「モチロン」
「前野主任、あのっ、ごちそうさまです」
アタシもあわてて、立ち上がって頭を下げた。
「これから大変だけど、こっちもフォローするから頑張ろうな」
前野主任は、こう言う所が
すごく優しくて頼もしい。
「はい、ありがとうございます」
主任を見送って少ししてから
コースの料理が運ばれてきた。
「……スゴい、美味しそう」
「由似ちゃん不安にさせたお詫び①ね~」
まだあるような言い方ですが
もう充分です。
オードブルを口に入れて
あまりの美味しさに口が緩んでしまう。
「由似ちゃん、少しは安心出来た?」


