恋する24時 2


 唇をはなして

 困惑した声で先輩が言う。




「……イヤだった?」




 アタシは、小さく首を横に振った。



 頬を伝う涙を、先輩が

 親指でぬぐってくれていた。




「……怖いです、先輩の彼女でいるのは」




 嬉しいより、不安の方が勝っていた。




「これ以上、可児先輩を好きになるのが、怖いです……」




 自分の声が

 思っていたより震えていた。



 先輩の腕に力が入って

 気付いたら

 胸の中に抱きしめられていた。




「……必ず、安心させるから、もう少しだけ待ってて?」



「……」




 先輩の頬が、アタシの頬に触れて




「信じてくれないかもしれないけど、この会社に入って、オレが彼女にしたのは由似ちゃんだけだからね」




 耳元で、苦しそうに先輩が

 小さな声で言った。



 アタシは、信じたい気持ちで

 背中に手を回し

 すがるように、ギュと先輩を抱きしめた。