「美江・・助かったよ。―――もう少しでひかれるところだった」


正典は、ハハッと笑った。


美江は信じられないという顔で正典を見つめていた。


「そうだ!誤解といておくけど、さっきのはバイト先のオーナーだから!



それと、最近あまり一緒に帰れないのは―――指輪買うためにバイト増やしたからだよ」



「―――指輪?」



美江が目を丸くする。



「お前、来月誕生日だろ?」


と、正典は照れたように言った。「納得した?」



美江は何も答えなかった。


「おい、納得したのか?」


正典が美江の顔を覗き込む。



―――美江はボロボロ泣いていた。