星屑が消えた日




「声出てるっスよ」


急いで口を塞ぐがあまり効果は期待できないだろう。

まさか声に出してるとは。

ジリジリと笑顔を絶やさず私との距離を詰めようとしている翔に気付き私も後ろに後ずさりする。


何でこの男はこんなに危険なのだろうか。

ああ早く帰りたい。


今日は早く帰ってこいって言われてたのに。


ガタンッと、扉付近で音がして私と翔は一斉に扉に注目するとそこには生徒会長である彼が立っていた。


「なんだ蜜くんスか驚かせるのやめてくださいよ」


翔が話しかけているにも構わず、彼の目線は確実に私を捉えていた。

幻でも見るかのように、その目は一粒涙を零していた。


ああ頭の奥がキーンとする。


ズキズキ、ズキズキ


「蜜くん?」


目が離せない。
ダメだこれ以上は。近づいちゃいけない。


私は机の上に置きっぱなしだったリュックを持って生徒会長が突っ立っている反対のドアから逃走した。