私の肩に落ちた桜の花びら


左手でそっと掴む

綺麗なピンクと先が少し茶色がかったその花びらはまるであの時の私たちみたい



気づかなかった。
綺麗な色の私たちの世界から段々と汚していくその色の正体に。


「はぁ、なんで思い出しちゃうかな」




もう通いなれた学校の前に咲く大きな桜の木の前で私の中から消えてくれないあの人をまた思い出してしまう




「聖良!!」

ため息をついている私の後ろから私を呼ぶ声がして振り返る


その姿をみるとさっきまで少し落ちてた気分が一瞬で上がった


「ふっ、これも聞きなれた声」




「ん?なに?」

私の小言が聞こえたのかそう言ってきょとんとする彼女は私の親友で大好きな「八城 奈菜莉(やしろななり)」


「なんでもないよ、笑 ただ変わらないなーって思って」


「はぁ、、もう!!変わったよ!!ちゃんとみて!」

「えー?変わってないよ?」


何も変わらないのに。と思いながら目の前の少し怒っている奈菜莉をじっと見つめる


「んー更に可愛くなった!」

「え!ほんとに?!」


少し褒めたら嬉しそうにニコニコする奈菜莉。正直何が変わったか分かんないけど


「実はね、メイク変えたんだー」

「あーー、なるほど」

「なにそのきょーみないです感」

「だっていつもコロコロ変えてるじゃん」

「今日はいつもと違うの!だって高3だよ!?新しい生活!新しい恋!」

「はいはい、わかったからクラス表みに行くよ」

「もうー。聖良ってほんとクール」




私だって新しいものに期待してない訳じゃない
ただ、いつまでも忘れられないあの人を早く忘れたいだけ
期待してもずっと虚しいだけなんだよ。
新しい恋とか。

誰も本気で好きになれないのに