「絵奈さん、仕事中も幸せオーラ出てると思ってたけど、そりゃ出ますよねー。会社に居たらー……って、佐伯さん? どしたんですか?」

 言われて隣の佐伯さんを見ると、考え込んでいるようなそんな表情だった。

「ん?まぁ、真希ちゃんがアタックしても前橋君は落ちないからいいとして」

「えぇー。酷いですぅ」

 佐伯さんの表情は、変わらず考え込んでいるままだった。

「前橋君と付き合ってる、んだよね?」

「はい。すみません、言ってなくて」

「絵奈ちゃん、仕事辞めちゃうの?」

 え、なんで知ってるの? まだ所長にだって言ってないのに。

「前橋君が言ってたから。彼女、連れてくって」

「ええー?! 絵奈さん行っちゃうんですか? 青森まで?」

 あたし、行けないなぁ……と真希ちゃん。

「はい、行こうかなって思ってて」

「そっかぁ……。私、絵奈ちゃんと前橋君と付き合ってるのはね、いいの。そこは応援してるんだけど……絵奈ちゃん辞めちゃうの?って、真希ちゃんから聞いてから気になってて……。やっぱり辞めちゃうんだ……」

 ちょっと寂しげに視線を落とした佐伯さんは、それはもうお人形さんの様に可愛い。

 私はそんな佐伯さんにキュンとして、真希ちゃんが佐伯さんみたいな容姿じゃなくてよかった。と、明後日なことも思ってしまう。

 だって、可愛すぎて絶対落ちる。

 真希ちゃんの名誉のために言うと、真希ちゃんは真希ちゃんで可愛い。いつも楽しそうで、一緒にいると元気になる。ただ、真希ちゃんも認めているけれど、佐伯さんは規格外に可愛い。

「私、前の彼氏と遠距離でグダグダになってたじゃないですか」