ナナを庇うように腕の中に収め、ヒーロー気取りでそう言ってくるナナの彼氏ヒカル。



あ。


コノヤロウ。


踏んだな?


今、私の地雷踏んだな?





一条なずな、17歳。



クリスマスなんてこの世から消えてしまえばいいと思ってる、ただ今人生のドン底真っ只中のJK2。


実は、ヒカルの言う通り。つい先日、彼氏と別れたばかりだっりする。



「てかさ?クリスマス直前に別れるとか、一体何があったらそうなるわけ?あんた達、結構長く付き合ってなかったっけ?」


「ふ。カホさんそれ、聞いちゃいます?」


「いや、別に聞きたかないけど」


「うわぁーん!聞いてくださいー!!」



なわば半泣き状態でカホに飛びつくと、教室のドアがガラッと開く音がして思わずビクッと肩を揺らしてしまった。



「うーす」


「キャー!鈴木くんおはよー!」


「うーすじゃねぇよ比呂!今何時間目だと思ってんだよー!」


「寝坊した」


「あはは!鈴木くん可愛い〜!」



────現れたな、悪魔め。



悪の根源をギロリと睨みつける。


すると、ヤツと思い切り目が合ってしまい、凄い形相で睨み返された。



う、うっざぁ〜〜!!!



この、やたら顔だけはいいモテ男────鈴木比呂は、不覚にも私の元彼だ。



別れた原因は他でもない。


性格の不一致。