「ヒカルぅ〜ん!クリスマス、このツリー見に行きたぁ〜い」


「お!いいね!俺もそれ見たいって思ってたんだよね!ナナちゃんてば、さ・す・が」


「えへへ〜!私達って本当に気が合うよね〜!」


「だね〜!」



このクソバカップルどもめが……。



“クリスマス特集”と書かれたやったらキラキラした表紙の雑誌を、やったらイチャイチャしながら見てる目の前のリア充カップル。


手元の消しカスを集めて丸めながら、どのタイミングでぶん投げてやろうか考えてる私の心は、多分荒みきってるんだと思う。



「コラなずな。顔がもはや大量殺人鬼」



冷静な声で私を宥めるのは、親友のカホ。


隣の席でスマホをいじりながら「やめろ」と言って私の頭をペチンと叩いてくる。


もちろん。そんなもんで私のイライラがおさまるわけもなく。



「てかあんたらさ!ここ学校なんですけど!?教室なんですけど!?公衆の面前でイチャイチャしないでくださーい!!イチャイチャハラスメントで訴えますよ!!」



ビシッと指先を突きつけてそう言うと、「やぁ〜ん!なずなこわぁ〜い!」ともう一人の親友ナナが甘ったるい声を出してくる。



コイツ……!絶対わざとだよな!?



「おいっ!一条!自分が比呂(ヒロ)と別れたばっかだからって、俺のナナちゃんにあたるんじゃねぇよ!」