長いまつげをバサバサはばたかせ、彼女は私をじっと見つめてくる。

次第にそのお姫様な顔が険しく変化していく。


「あ……スミマセン、先行きますっ」


耐えきれなくなった私は思わずそう言っていた。

地面を蹴って駆け出す。


でも……。


「わっ!」

「待った」


二人を横切ろうとした時、走り出した私の二の腕を理玖くんが止めるように捕まえた。


「誰が行っていいって言った?」


なぜかいきなり怒られる。

私を見下ろしふっと薄く笑った理玖くんは、レイカという彼女の前へ私を突き出した。


「コイツ、俺の……」


そう言った理玖くんの顔が私の顔にグンと近付く。


な、なななっ……

何ですかーっ⁈


思いっきり驚いて固まった、その時――

チュッと軽やかな音がほっぺを刺激した。


きゃ……ぎゃあああぁぁー!