「期待させといて悪いけど……今日はここまでで」

「わっ」


頬に触れていた手でおでこをデコピンされる。

事あるごとに反応してしまう私を見て、理玖くんはまたフッと軽く笑う。


「じゃ、お先に」


最後の最後まで余裕の表情を浮かべ、理玖くんは部屋を静かに出て行った。


「ぅ……嘘……」


パタンとドアが閉まり、途端に全身の力が抜けきる。

壁にずるずるともたれながら、私は床へと崩れ落ちてしまった。


何でいきなり……

こんなこと……?


理玖くんの行動の意味が全くわからない。

爽やかで感じがよくて、とてもあんな意地悪なことをする人とは思えなかった。

それなのに……突然のあんな展開……。

訳がわからない。