「あ、ごめんなさい……あの、荷物」

「…………」

「すいません、重いのに……」


階段を上がりながらも、村娘は一人で喋り続ける。

自分の部屋より一つ手前のドアを開け、無言で中へ連れ込んだ。

この間まで物置同然だったその部屋は、いつの間にか住める感じの空間に変えられていた。

しかも、いかにも〝女の子〟って感じの色調。

完璧母親の趣味。

こんな部屋にいたら、俺なら当然落ち着いて寝付けない。


「わぁ~すごい……」


でも、村娘は相当気に入った様子。

部屋に入ると同時、歓喜の声を上げてそこら中を見て回りだした。


「気に入った?」

「あ、はい! この部屋、私が使っていいんですか?」