「それじゃあ、学校で何かあったの?」

「いえ……学校は楽しいです、とても」

「じゃあ……もしかして、うちが居心地悪いとか」

「そっ、そんな! それはもっとないです! おじさんもおばさんもよくしてくれるし、私、すごく住み心地いいですもん!」


おばさんの心配そうな様子に、慌てて言葉を連ねる。

お父さんの古い友人というだけなのに、おじさんもおばさんも初対面の私にすごく良くしてくれた。

居心地が悪いなんてあるわけがない。


「そう……それならいいけど。だったらどうして?」

「はい……。私、勉強の方がおろそかになっちゃってて……」

「え……そうなの?」

「はい。勉強するためにこっちに来たのに、成績落としてちゃ意味なくなっちゃう、って思って」


理由を話すと、おじさんとおばさんは黙って顔を見合わせる。


「なので……二学期いっぱいで宮城に戻ります」


区切りのついてきたところで、私はそう話をまとめた。