「それ……どう、いう……」


その先を聞くのが怖い。

でも、聞かないとわからない。

理玖くんの動じない微笑を真っ直ぐ見つめ、黙って返事を待つ。

そんな私を見つめ返し、理玖くんはソファを立ち上がりながら私の頭を軽く撫でた。


「その気にさせちゃったなら、先に謝っとくよ」

「え……?」


その気に、させちゃった……?


「いやさぁ、どっかの村から東京なんかに一人で出てきて……可哀想だと思ったんだよ、桃香のこと」


え……。


「東京の学校でイジメにでもあったら、とか……だから、ちょっと面倒見てやろうと思って」


そこまで言うと、理玖くんは目を伏せフッと笑う。

再び私へと目を合わすと、その顔に笑顔を作り直した。


「ごめんな? 変な期待させちゃって」