ハッとして顔を向けると、私が座る横に理玖くんが座っていた。

手には分厚い小説らしき本を持っていて、無言のまま中身を開く。

つい横顔をまじまじと見つめていると、本に落とした理玖くんの視線が不意討ちでこっちに向けられた。


「……何?」

「えっ! あっ、いえ……」


ブンブンと顔を振ると、理玖くんはフッと笑って再び本に目を落とす。

慌ててテレビに真剣になってるフリをした。


そうだ……。

今って、理玖くんと二人きりなんだ……。


今夜はおじさんとおばさん、瑠依ちゃんは三人揃って出掛けている。

学校から帰ると、理玖くんと私、二人分の夕飯が作って置いてあった。

理玖くんは今さっき帰ってきたばかりで、今の今まで一人夕飯を食べていた。

キッチンに入って後片付けをしてたと思ったら、いきなり真横に来ていたからビックリしてしまった。


「観に行きたいの?」