帰る流れになったそんな時、教室のどこかから名前を呼ばれた。

私を桃ちゃんなんて呼ぶのは、純太くんくらい。

振り返ると、やっぱり純太くんが机をぬって駆けてくるのが目に入った。


「純太くん、どうしたの?」

「よかった、もう帰るとこ?」

「そーう! 桃香は今からあたしとデートなの!」

「こころなら別にいいや。ちょっと桃ちゃん借して」


……え?

わ、私?


「はぁーっ? 何でよ? 何の用があるわけ?」

「お前には関係ないの。桃ちゃん、ちょっといいかな」

「え……あ、はい……」

「もーう、何よそれ! さっさと終わらせてよね! 桃香、終わったらLINEして」

「あ、うん……」