「おーじ〜!」


すれ違う女子の集団が声を揃えてキャッキャと騒ぐ。

無視しようにもできない俺は、向けられた視線の先へ笑顔を見せる。


いつから俺は、こんな愛想がよくなったんだ……?


そんなことを毒づきながら。


災難だった学祭後、災難は引き続き継続中……。

人からは王子と呼ばれ、無駄に気軽なあだ名がついてしまった。

ほとぼりが冷めるまでの辛抱とわかってはいるけど、だから仕方ないとも思えない。


「おーうじ!」


コイツのせいだ…

コイツの……。