またガチャンと激しくドアが閉まったと思えば、パタパタとスリッパの音が近付いてくる。

だらっとしたまま顔だけを向けると、そこには妹の瑠衣(ルイ)のはしゃいだ姿。

学校のプリントらしき紙を手に、俺の座るソファに飛び乗ってきた。


「お兄ちゃん! わからないとこがあるの。教えて?」


持ってきた紙はどうやら夏休みの宿題らしい。

広げられた紙には英単語がずらり。


「どれ、どこがわかんない?」

「ここなんだけど……何の単語が入るのかなぁ?」


妹の瑠衣は十三歳。

今年、同じ学校の中等部に入学した。

瑠衣は昔から俺に懐いていて、『中学もお兄ちゃんと一緒がいい』なんて言い出し……中学受験。

親泣かせにも、中学から私立に進学を決めた。

うちの学費は間違いなく馬鹿にならない。


「おい……こんなのもわかんないのかよ?」