くっきりとした白い雲が、次から次へと流されていく。 高い場所から何の障害もなく、空だけを眺める。 ぼんやりと頭の中を空にして、ただ目を開いているだけ。 それだけのことなのに、何か癒される。 晴れた日はこうやって、人目につかない屋上で時間を潰したりもする。 下界では相変わらず、大騒ぎする声が飛び交っていた。 青空を見つめながらそっと目を閉じてみる。 するとまぶたの裏で、さっき見た桃香の不安そうな顔が蘇った。