「3―Cのお化け屋敷は教室二つ使って四階でやってまーす! 来てくださーい!」

「三時から軽音部、ライブがありまーす!」


学祭特有の賑やかな校内。

廊下にはいつもの倍以上の人がうろつき、あちこちで呼び込みの声が飛び交う。

二日目の今日は一般公開というのもあって、昨日に増して生徒たちも勢いづいてる。


「『なんて美しい姫……』いや、何か違うんだよな。もっとイントネーションが」


ここにも一人、その勢いづいてるうちの一人がいる。

俺の記憶が正しければ、その役の出番は限りなくないに等しい。

ラストのラストでチョロッと顔を出して、大したセリフだってないはず。

それなのに、純太の奴は相当気合いを入れて何度も台本を読み込んでいる。

見てるこっちが、覚える必要のないセリフを覚えてくる始末だ。