「梶田かぁ! おい梶田、推薦されたが、やってみる気はあるか?」


合田先生にきかれ、梶田くんは誇らしげに席を立ち上がる。

なぜか私に視線をよこし、でれっと笑ってみせた。


「じゃ、じゃあ……でも、どうしようかなぁ……」


ねとっとした梶田くんのその声を耳に、意識とは別で背筋がぞくりと寒くなった。


嘘、でしょ……。

私……あの梶田くんって彼と……?


って、ちょっと待って!

その前に私、やる気なんて!


「先生! あのっ、私!」

「よーし! じゃ、主役の白雪姫は加山で……王子の役が……」


呼びかけむなしく、合田先生は黒板に配役を書き込んでいく。


「先生! あのっ!」


あたふたしながらクラスを見渡すと、意味深な笑みを浮かべてこっちを睨む柏木さんと目があった。