何てタイミングいい奴だ……。

いや、この場合悪いって方か。


視界の中に動くものを見付けて目をやると、じっとこっちを見つめる桃香と目があった。

大きな目を更に大きく見開いて凝視。

視線が重なりあった瞬間顔を引っ込めて、どうするのかと思っているとバタバタと階段をおりていく足音がしてきた。


「ねぇ、理玖? 一生のお願い」


純太から逃げられるなんて安易な考えでいたら、よっぽど麗華に捕まった方が面倒くさかった。

何の用でこんなとこまで連れてきたかと思えば、全く眼中にもないくだらない話。

十一月にある学祭の話だった。