やだ……とんでもないとこに遭遇しちゃった……。


バクンバクンと心臓が激しい音を発しだす。

見ちゃいけないと頭では思っているのに、身体が勝手に覗き見をしていた。

踊場の隅で密着する二人の身体。

理玖くんを壁際にして、柏木さんが迫ったような立ち位置。

頭一個分背が小さい柏木さんが、真下から理玖くんを見上げている。

よく見ると、柏木さんの両手が理玖くんの胴体に回っていた。

ズキンと、今まで生きてきて感じたことのない胸の痛みを感じる。

柏木さんを見下ろす理玖くんの目を見て、圧迫されたように胸が苦しくなった。


やっぱり……この二人って……。


今にも柏木さんにキスでもするんじゃないかと思いながら理玖くんを凝視していると、柏木さんを見る理玖くんの目が、不意に背景の一部である私へと向けられた。


あっ……ばっ、バレちゃう!