「えっ、あのっ!」


飛び上がるほど驚いて体をねじる。

いつになく俊敏な動きで背中に回った理玖くんの腕に手をかけると、今度は簡単にその手を掴まれてしまった。


「あの! 理玖くんっ」

「そうそう、その調子」

「っ……、ちょっと、理玖くん!」


押さえつける手から必死に逃れようと暴れると、急にふっと手首にかかる力から解放された。


「わっ」


それとほぼ同時、倒れる体を抱き起こされる。

よくわからない展開に目を丸くすると、目前の理玖くんは小悪魔チックににこりと微笑んだ。


「そのくらいは最低暴れないとな?」

「……」


は、恥ずかしい……めちゃめちゃ恥ずかしい……。


「っていうか、ほら、これ」

「え?」

「コレのために来たのに、本題忘れてたし」