初めて出逢った時も、さっきも、理玖くんはあんなカッコよく私を助け出してくれた。

夢見がちかもしれないけど、女の子だったら誰でもときめいちゃうと思う。


理玖くんみたいな人に助けてもらえたら……。


一方的に握られている手を、少しの勇気を出して握り返してみる。

わからないくらいの微妙なアクションでも無駄に緊張する。

込めた手の力に気付いたように、理玖くんが手を握り直した。


「……あの、理玖くん?」

「なに?」

「映画……始まっちゃったけど、二人は……」

「観てんじゃない?」


あ、いや……そうじゃなくて……。


「あ……じゃあ、終わるの待って」

「終わったころ電話すればいいだろ? 桃香見付かったって。それより……」

「……?」

「あ、れ」


話題を遮って理玖くんが足を止める。

顔を見上げると、理玖くんは顎を使って何かを指し示した。


「乗ってみない? 観覧車」


かっ……観覧車⁈