「え、あの……」

「やだとは言わせないけどね」


そう言った理玖くんは掴んだ腕をグイッと引っ張る。

特に何も言わずに歩き出した。


「あの、理玖くん?」

「どこ行きたい?」

「え……?」

「って、きかれても何があるかわかんないって?」


掴んでた手を離し、理玖くんはその手で私の手の平に触れる。

指を絡ませ、さり気なく手を繋がれた。


――ドキンッ……!


鼓動が跳ね上がる。


何でっ⁈

何この展開っ!

陸くんはだって!

だって!


混乱し、頭の中がパニックを起こしてぐちゃぐちゃになる。


だって、理玖くんにはこころちゃんが!


そう思ったものの、私は何も言えないまま理玖くんに手を引かれていった。