……りっ、理玖くん!


引き止められた力におじさんが振り返る。

突如現れた理玖くんに驚き、おじさんは慌てて手を放した。


「きっ、君は!」


一歩二歩、後退するおじさん。

理玖くんは解放された私をすかさず引き寄せた。


「どうもお世話になりました」


丁寧にお礼の言葉を口にする理玖くん。

でも、その目は裏腹。

鋭くおじさんを捕らえている。


「まだ東京に慣れない村娘なんでね、コイツ。親切な方に助けてもらって、俺も助かりました」


きっと、このおじさんが私を助けたなんて理玖くんは思ってない。

だけど、わざとなのかそんなことを言う。

逃げ腰になったおじさんは、あわあわとどんどん困り顔に……。

理玖くんはそんなおじさんを見ると、ふっと口元を笑わせた。


「それとも、まさかとは思いますけど……どっかに連れ込もうとか、そんなつもりだったなんてこと、ないですよね?」


え……。

えぇぇぇーっ⁈