うぅ……どうしよう……。


「やっぱり……持ってた方がいいよね?」

「え、もしかして今まで持ってなかったの?」

「え、あ、うん……必要、なかったから……」

「嘘ぉ! じゃあ友達と連絡とか、どうやって取ってたの?」

「それは……」

「桃香」


連絡……連絡……。

と、こころちゃんの質問の答えを考えている時だった。

話に割り込むように理玖くんが私の名前を呼んだ。

振り返ると、純太くんの向こうにいる理玖くんが立ち上がってこっちを見ている。


「帰るぞ?」

「え……?」


盛り上がる空気もお構いなし。

理玖くんは入り口の扉に手をかけ、早くしろって顔で私を見つめた。