死にたい君に夏の春を

「大丈夫じゃないじゃん」


歩くのを助けるように九条は手を差し伸べるが、僕はそれを止める。


「ちょっと油断しただけだって……。普通に歩ける」


その言葉を聞いて、彼女は心配した表情をしながらも手を戻した。


「意外と強がりなんだね」


「うっせぇ……」


痛みを我慢しながらどうにか体制を立て直し、校舎に向かって歩き出す。


敷地内に入って気づいたことだが、どうやら1階に警備員がいるらしい。


懐中電灯であろう光が窓から漏れている。


こんな夏休みでも警備員はいるのか。


彼女は言った。


「警備員が上の階に行ったら、裏の扉から入ろう」


中にいる警備員に気づかれないように、素早く木の陰に隠れて待つことにした。