死にたい君に夏の春を



学校から抜け出し打ちひしがれて、ただ道を歩く。


寂しい。


栞に会いたい。


なんでなにも言わずに、僕の前から姿を消したんだ。


もう夏休みは終わった。


だから、あいつは死んだのだろうか。


誰も知らない遠いところに1人で行ってしまったのだろうか。


僕があの時、生きててほしいと言えなかったからなのか。


いや、その前に言ってやればよかった。


せっかく、仲良くなれたのに。


仲良くなるのは、栞1人で充分なんだ。


僕には栞をいじめたクラスメイトの奴らと向き合うことなんてできやしない。


このまま学校に行き続けても、きっと僕は栞みたいにいじめられるだろう。


そんな人生、僕はいらない。


足は、いつの間にかビルに着いていた。


いないかもしれない。


もう死んでしまっているかもしれない。


それでも僕は建物の中に入る。


薄暗い階段を、1段ずつ上る。


壁は所々ひび割れていて今にも崩れそうで、こんな所で僕と栞は寝泊まりしていたのかと思い出す。


いろんな記憶が思い出される。


勉強をしたり、栞がストレスで熱を出したり、花火をしたり、命からがら逃げてきたり。


たった2週間の出来事だけど、かけがえのない思い出。


僕らは、本当の青春を過ごすことができたのだろうか。


するとその時、僕の制服のポケットの中でスマホが鳴った。


急いで中身を確認する。


メールか1件来ている。


画面をタップし、メールの中身を見る。


『さよなら』


その一言だけ、書かれていた。