「何言ってんのよあんた……!」


泣き腫らした樹が急に立ち上がり、近づいてくる。


「ロッカーにゴミを入れたのも、落書きしたのも全部僕だ。はい、犯人は見つかった。だから静かにしてくれないか」


それを聞いた織部が、怒りを露わにして来る。

「おい、高階。今自分でやったって言ったか?」


視線だけで殺されそうな威圧感である。


思わず尻込みしてしまいそうだが、僕は立ち向かった。


「あぁそうだよ。栞の分を返してやった」


「栞?九条のことか?はっ、そうか、そう言えばお前ら付き合ってたよなぁ」


その言葉に、反応する。


「何言って……」


「見たんだよ。お前らが夏祭りで一緒にいた所を。チョーカーでモロバレだったぜ」


そうか、チョーカーを買うところを見られていたんだ。


それは不覚だった。


「……だからどうしたんだよ」


「九条を探してるおっさんが俺に話しかけてきたんだ。面白そうだったから、行った場所を教えてやったよ。そしたらなんだ、お前が刺されたって?」


爪が食い込むぐらい、手を握る。


「そのニュース見た時腹ちぎれるくらい笑ったぜ。お前のことなんかどうでもいいから今まで忘れてたけどさ、さすがに傑作だわ」


黙れ。


「愛する女のために命かけるってか?その相手が九条ってのも、まじでおもしれぇよお前」


「黙れよ……」


「もしかしてこんな嫌がらせでいい気になってんのか?いいか、いじめって言うのはな、こうやってやるんだよ」