帰りながら、夏休みのことについて考えた。


織部が夏休みの話なんかするから、余計な考え事をしてしまう。


つまらないゲームをして、つまらない漫画を読んで、つまらない日々を過ごす。


これが僕の日常である。


なにも楽しいことなんてない。


全てがどうでもいい、そんな人生。


そして九条 栞のことを思い出した。


僕は彼女とは違う。


だかどこか似ているような気がした。


生気を無くしたような虚ろな目が、僕を映しているようだった。


ふと、廃墟と化したビルを見上げた。


もう誰も使わなくなった、古くて小さな4階建てのビル。


意識した訳では無い。


だが、確かに僕は見てしまった。


その廃墟に入っていく、九条の姿を。