勿論“俺”と、覇王の敵になりそうな“アイツ”の顔も割れていた、


いつ狙ってくるか構えていたが…

(なるほど…後夜祭で仕掛けてきたか、)

舌打ちをしたくなるのを堪え、そっと庇う様にして立ちはだかる時雨へと…



――――――――…視線を移した


「時雨、」


「下がってろ。…あと、これ頼む」





押し付けられたのは全員分のジュースたち。

そっか…時雨も気付いたんだね、

今、私たちを前に怪しく笑う奴…そう、コイツはあの『壽』だ



私も闘う、と言いたい。

時雨一人でこの人数は…、


「―――――…いいか一華、ぜってぇ動くなよ。直ぐ終わらすから、」

そう溢された一言、
ねぇ、狡いよ



なんでこんな時だけ名前呼ぶの、

いつも『馬鹿』とか『アホ』しか言わないくせに、


どんな状況か分かって…言ってんの?

かなりヤバイ状況だし。ざっと見、壽を合わせ約10人

私は…何を迷ってる?



自分の嘘がバレるのが嫌だから?

それとも…まだ私は彼らを、






信じられないの?


そっ、と自身の胸の内に問う

(あぁ、…違う、そうじゃない、…私は、)