「もしもし、蒼……」

あいつは、仕事中なのだろうか。

押し殺したような声で電話に出た。



「ほのか、久しぶり……
今日キーホルダー届いた」

「お誕生日おめでとう」

あいつは可愛らしい声で祝いの言葉をくれる。

俺は少し照れながら「ありがとう」と答えた。



「鍵つけてみたんだけどさ、これちょうどいいな」

明るくそう言ったが、ほのかの返事は聞こえてこない。



「ほのか、次はいつ帰ってくるの?」

「わかんない……」

彼女は、小さな声でそう答えた。