インターホンが鳴る音が、遠くから聞こえる。

どうせ母親が出るだろう……
俺はそう思って、MVの鑑賞を続けていた。



しばらくすると、階段を上がる足音が聞こえてきた。

なんとなく母親が来そうな予感がして、俺はMVを止めた。



「蒼に荷物届いてるわよ」

「俺に……?」

相変わらず、母親はノックもせず勝手にドアを開ける。

高校生にもなるんだからもう少し気をつかってほしいが、俺は諦めて母親の気配を感じたらヤバいものは隠すようにしている。



「よかったわね。ほのかちゃんからプレゼントが届いて……」

「……ほのかから?」

母親は意味深に微笑むと、小さな箱を俺に手渡して部屋を出ていった。