高校生にもなると、自分の誕生日だからといって変わったことは特にない。

しかも今年の誕生日は日曜で、友人と顔を合わせることもなかった。

母親だけは気をつかって「夕飯何食べたい?」と聞いてくれたがその程度だ。

ケーキも予約してくれたらしいが、俺にはそれで充分だった。



朝食を済ませると、俺はすぐ自分の部屋に戻った。

最近発売されたばかりの三枚目シングルのMVをもう一度ゆっくり観たかったが、今日は休日で両親がリビングを占領していた。

この前リビングの大きなテレビでMVを観ていたら、料理をしていたはずの母親が「あら、ほのかちゃん綺麗になったわね」と声をかけてきた。



俺は、母親と一緒にあいつのMVを観たくはない。

余計な詮索をされるのが嫌だった。

できればリビングの大画面で鑑賞したいが、俺は自分のベッドに寝転んでスマホの画面を開いた。