「蓮見君の第一志望って、N高だっけ?」

「今のところそうだけど……」

「……そっか」

ほのかの席に広げていた座席表をしまうと、笹川は俺に視線を向けた。



「あたしもN高にしよっかな」

「なんで……?笹川なら、もっといい高校いけるんじゃね?」

「そんなことないよ……近いほうが楽だし」

優等生の考えることはよくわからない。

普通なら見栄を張って、少しでも偏差値の高い学校に受かりたいと思うんじゃないのか。



「じゃ、蓮見君、先生の前で勉強頑張ってね」

「マジくじ運悪いわ、俺……」

頭をかく俺に優等生スマイルを向けると、笹川は背筋を伸ばして歩いていった。