「あたし、同窓会の幹事やってるんだけどさ……
蓮見君、弓槻さんの連絡先知らない?」

年度内の予算消化のためか、大学一年の三月に突如出現した謎の噴水の前のベンチに笹川と並んで座る。



「ごめん……最近、連絡とってねぇわ」

「そっか、蓮見君なら知ってると思ったんだけど……
蓮見君が知らないなら、誰も知らないよね。
弓槻さん、すっかり有名になっちゃったし」

笹川は手作りの名簿とハガキが入ったファイルを抱えて、ため息をついた。



「成人式の同窓会だし、弓槻さんにも来てほしかったんだけどな……」

「そのハガキ、俺あいつの母さんに渡しとこうか?家近所だし」

「本当?じゃ、お願いしていいかな?」

うなずいた俺に、笹川は出欠確認のハガキを差し出した。